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夕暮れの灯台へ<鹿児島県奄美大島> [ラン旅]

奄美大島の南端にある古仁屋港。

ここにやってきたのは12年ぶり。

でも、どこも変わっていない気がする。

大島海峡を隔てて、明日から過ごす加計呂麻島がまじかに見える。

フーテンの寅さん最後のロケ地だ。

古仁屋は奄美諸島では重要な港だけれど、

意外にこじんまりしている。

漁船も少ない。

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港から3分ほどのビジネスホテルを出発したのは午後6時。

まだまだ外は明るい。

まっすぐ港に向かう。

小さい港をつなぐように、

かわいい橋がかかっている。

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渡って海岸線を夕日の方角へ向かう。

古仁屋でおそらく一番大きなスーパーだろうコープを過ぎると、

すぐに海沿いの山道になった。

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60代後半くらいだろうか。

ご夫婦のような男女が前を歩いている。

この先にある灯台を目指して散歩しているのだろう。

さらに上る。

この先のカーブを右に曲がれば、

沈んでいく太陽が見えるかもしれない。

そんな期待をしてカーブを曲がった。

上り坂はやっと終わったけれど、

水平線どころか海は見えなかった。

その先にも新たなカーブが続いていた。


田舎の道では歩道がなく、

走っているすぐ横を車が走り過ぎることが多い。

ここは山道なのに広い歩道があるのがありがたかった。

もっとも車はほとんど通らないのだが。


GPSで見て3キロになったところでUターンして戻ることにした。

実はあまり時間がない。

夜、暗くなったら撮りたい写真があるからだ。

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帰り道に灯台に向かった。

高さ5メートルほどの小さな灯台だ。

60代後半くらいのお父さんもが歩いてきた。

ここを目標に散歩している人が多いようだ。

手前は大島海峡。

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下って行くとこちらに向かって来るランナー。

知らんぷりも、どうかと思い

「こんにちは!」

すれ違うとき、声をかけた。

相手は少しだけ頭を下げたきがした。


またすぐにランナーが来る。

また声をかけた。

「こんにちは」

今度は小さな声が返ってきた。

奄美の人は、ちょっとシャイな気がした。


きっと、今日すれ違った人たちは、

いつもこの道を走っているのだろう。

坂道、海、加計呂麻島、灯台。

このコースはトレーニングに向いているし、

眺めもなかなかだ。


暗くなってきた。

アマミノクロウサギに会いに行こう。


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隠れ里を走る<岐阜県中津川市> [ラン旅]

中津川に出かける2日前、

旅雑誌を開くと「ニッポンの隠れ里」という特集だった。

岐阜県の旧・加子母(かしも)村が紹介されている。

現在は合併により中津川市になるという。

その中でも村人たちの手作り歌舞伎小屋に目を奪われた。

小屋は男衆が作り、引き幕引は女性たちがお金を出し合ったという。

そのため「娘引幕」と呼ばれ、女性の名前と屋号が書かれている。

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この村を走ろう。

隠れ里を走れるなんてワクワクする。


7月初めの暑い金曜日。

加子母川に沿った道の駅に車を止めた。

隠れ里だってちゃんと道の駅はあるのだ。

駐車場から清流が見える。

鮎釣りの人が何人かいた。

午後5時すぎに走り始める。

大都市と違って地図はないのでコースは勘が頼りだ。

まず、坂道を上る。

高いところから村の全体を見てみたい。

道幅はほんの数メートル。

狭い農道のような道が曲がりくねっている。

通る車はほとんどない。

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でも、すぐに坂道は林の中に消え、

見通しの良い高台はありそうもない。

里山に沿った道を走る。

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道と田んぼの間にある用水路が音を立てている。

家のあると、必ずと言っていいほど花も咲いている。

7月はやはり花の季節だ。

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この辺りにイノシシは出ないのだろうか?

もし出たら、どうしようか。

いや、あの重たそうな体だ。

瞬発力ではかなわないが、長時間は走れないだろう。

遭遇したら、とにかくダッシュして、

最初の100mくらいを必死で走る。

あとは、サブ4ペースで走れば逃げ切れる。きっと。

そんな妄想が浮かんできた。

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立派な寺があった。法禅寺という。

高台で村の歴史を見続けて来たのだろう。


のどかな夏の田園風景。

写真を撮りながら走っているので、

距離もスピードもかせげない。

暑いけれど、疲れは感じなかった。

まだ、ずっと走れる気がした。

見あきない田舎の風景のせいか、

それともうまい空気のおかげか。

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目的地の明治座。

もちろん、もう誰もいない。


太陽が傾いてきた。

道の駅に戻ろう。

下って行くとやや道幅の広い道に出た。

両側に店舗兼住宅のような家が並ぶ。

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加子母村のメインストリートだったに違いない。

かつては賑わっていた時代もあったのだろう。


お母さんが散歩している。

すれ違う前に「こんにちは」あいさつをした。

返事は返って来なかった。

小さな村の夕暮れ時。

走っている男は怪しいに違いない。


加子母村。

また訪れることがあるだろうか。

約1時間で8km。

山の向こうに赤い日差しが隠れようとしていた。

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初夏の棚田を走る<山梨県富士川町> [ラン旅]

気温はまだ25度を超えているだろう。

すっかり夏の陽気が続いている。

ホテルを出たのは午後5時頃。

今回、GPSを持ってくるのを忘れてしまった。

始めての土地でのRUN、記録を残さずただ走るのは虚しい。

何か記録を残したい。

そこでスマホにマラソンのアプリを入れた。

走ったコースが地図に残ることが、

ちょっとした楽しみなのだ。

インストールが終わってすぐに走ることにした。

アプリの使い方は知らないけれど、

なんとかなるだろう。

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ホテルを出て、スタートをタップした。

まずは櫛形山の方向を目指す。

富士川町は増穂町と鰍沢町が数年前に合併した小さな町。

ビジネスホテルはたったの1軒しかない。

なだらかな坂道を上る。

県道に沿った歩道を走っていると、「つり掘」という手書きの看板があった。

釣り堀もちょっとのぞいてみたいのでそちらへ。

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その後看板はなくなり、つり堀がどこかはわからなくなった。

ヤマメの釣れそうな川沿いの道を上る。

その山道ちょっと走ると、すぐに南側へ下っていた。

南東に見えるはずの富士山は雲に隠れている。

Uターンすることにした。

棚田ある北へ向かう。

午前中、高台を探していて見つけた棚田は、

甲府盆地が見渡せる。

こんな風景の中を走ると疲れは感じない。

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細い川ぞいに入ると年配の女性が犬を連れていた。

のどかな散歩コース。

ジョギングにも気持ちいけれど、

こんな田舎では走る人もいないかもしれない。

女性を怖がらせたりしないように、

にっこりと、出来るだけやさしい声を出してあいさつをする。

「こんにちは」


棚田はまだ田植えが始まったばかり。

東北では、もう終わっていたのに、

甲府盆地は遅いようだ。

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棚田周辺を一回り。

まだ30分も走っていないが、

お腹が空いたので戻ることにする。

帰りは下り坂。

ピッチが上がる。

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西日が背中にあたる。

47分は過ぎていた。

スマホを見ると、

表示はなぜかマイル。

平均スピードもマイル。

ピンとこない。

まあいいか、地図は残る。


地図を見て振り返るのは楽しい。

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この記録は翌日のコース。

ほとんど同じだけれど、ちょっと短い。




清水へ、二条城へ<京都市・その2> [ラン旅]

さて、今日はどこを走ろうか。

日中、仕事で足が棒になるほど歩き回ったのに、

走りたくなった。

走り始めると、不思議なことに疲れを感じない。

むしろ疲れが取れる気がする。


岩本能史さんが著書に書いていた。

足に負担がかかるのは、

1、立っていること。

2、歩くこと。

3、走ること。

という順番なのだと。

なるほど。

走っている方がずっと楽だ。


さて、京都のにぎやかな四条通りのホテルを出て、

まずは南へ。

京都は道がわかりやすい。

南下すれば五条。

そこを東に向かえば清水寺の方向だ。

午後6時過ぎ。

もう中には入れないが、

近くに行けばそれでいい。

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途中の細い道を入る。

古い町並みというほどではないけれど、

昔ながらの商店街がある。

小さな扇子屋さんが、まだ開いていた。

扇子だけの店で経営が成り立つのだろうか?

京都だからこそかもしれない。

銀座では難しいだろう。


鴨川に出た。

多くの車が行き交う黄昏時。


清水寺の方向から歩いて来る和服姿の観光客。

その観光客が喜びそうな情緒ある町並み。

全国に「小京都」と呼ばれる場所がある。

でも、所詮は小京都であって、京都にはなれない。

京都はさすが京都だと思う。

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坂を上り、清水の入り口へ。

中国人らしい観光客が大勢いた。

日本人はそんな格好しないもの。

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振り返れば京都の夕暮れ。


祇園周辺は混雑で歩きづらいので、

いったん鴨川に出た。

今日の最高気温は28度だったとか。

2日前より川べりに人が多い。

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オレンジ色の雲がまだ見える。

この空を背景に二条城の写真が撮れないかな。

ちょっとペースを上げる。

四条周辺は混雑しているので、

そのまま三条へ。

道幅も、歩道も広く走りやすい。


すっかり暗くなってきた。

あと1ブロックで二条城。

ライトアップされている真っ白な壁が見えた。

皇居を思い出した。

空を見上げると、

残念ながらオレンジ色の雲はもう見えない。

群青色に染まっている。

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周囲を走る。

私のような年配者や若者も走っている。

やはり二条城の外回りは信号もなく走りやすいのだろう。

東京なら皇居。

福岡なら大濠公園。

京都なら二条城。

距離はどれくらいなのだろう。


そういえば、京都は高校駅伝や、県別対抗駅伝とか、

すごく強かったような。

こんな風に走りやすい環境のせいかもしれない。

明日は最終日。

もう京都の街を走れない。

そう思うとちょっと寂しくなった。

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鴨川沿いと祇園を走る<京都市> [ラン旅]

夕方、小雨が降ってきた。

夜にかけて本降りになるという。

でも、このくらいの雨ならランナーにとっては、むしろ歓迎だ。

ほてった体を適度に冷やしてくれる。

喉の渇きも感じないですむ。

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5月のGW明け。

急に気温が高くなり、

前日、東京の最高気温は29度まで上がった。


ここ京都も半袖シャツの人が目につく。

今回の仕事では、雨はあまりうれしくない。

ならば、仕事は明日から頑張って、今は走ってしまえ。


四条通りに面したホテルを飛び出し、

鴨川めがけて走り出した。

京都でも特ににぎわう大通り。

歩道が広くて走りやすい。

1kmほどで河原町。

そして鴨川にかかる四条大橋に出た。

まだ、外で一杯やるには早いのか、

テラスに客は少ない。

いや、やはり小雨のせいだろう。

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清流を右手に見て川沿いの遊歩道を上流に向かう。

意外に走っている人の姿はほとんど見ない。

こんな素晴らしいランニングコースなのに。

30分、約5kmほどで下鴨神社手前の鴨川大橋に着いた。

鴨川デルタと呼ばれる地元の人の憩いの場所だ。

川を離れて京都御所に向かう。

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京都御所。

人影はほとんどない。

ザッザッザッ。

だだっ広い場所に、

小さい砂利を踏む自分の足音だけが響く。

散歩の人が少しいるだけで人影は少ない。

御所内にきれいなトイレがあった。

用はないけど中を見てみたい。

さすが、御所内の公衆トイレだと思った。


南に抜けて、風情のある商店街や和菓子店の前を走る。

あっという間に四条通に戻ってきた。

八坂神社や祇園をゆっくり駆けながら探索した。

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歩いたら、それなりの距離だけど、

走ってしまえば短い時間でいろいろ見られる。

観光に手っ取り早いのがランニングかもしれない。

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1時間39分で13.76km。

タイムはともかく、京都の街を走る喜びは味わえた。

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城崎から海を見に行く<兵庫県豊岡市> [ラン旅]

城崎温泉に来て3日目。

ようやく走る余裕が出来てきた。

朝食後、ちょっと休んで9時半に走り始めた。

でも、午前11時半に予定があるので、

10時50分には戻って来ないといけない。

走った後の汗は、城崎温泉の外湯で流すことにしよう。

だから走れる時間は1時間ちょっとだ。

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温泉街の中心部にある古い旅館を出発。

朝の温泉街を走っている人なんて見当たらない。

なんとも言えず爽快な気分だ。

ほどなく円山川という大きな川に出た。


ここから川沿いの国道を走って河口を目指す。

道幅が狭い上に、そこそこ車が通るので気が抜けない。

対岸の山に見えるのは山桜だろうか。

温泉街の桜はちょうど散り始めたが、

山の桜は見頃が始まったようだった。

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円山川に2本の大きな橋が架かっている。

一本は車道。もう一本は歩行者用だ。

走りやすそうなので歩行者用で対岸に渡ることにする。

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橋を渡ると小さな集落があり、

そのまま海を目指すとほどなく浜辺に出た。

入り江になっているためか、

日本海は風がなく本当に穏やかで波の音さえ聞こえない。

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浜辺にはテントが一張り。

男性一人がタープの下で読書をしていた。

一人のキャンプも気持ち良さそうだ。

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河口から対岸を見る。

川に沿ってびっしり家並みが続いていた。

あまり見たことのない独特な風景だった。


気温は12、3度くらいだろうか。

ちょうど走りやすくて程よい汗をかいた。


走っている人の姿は見かけない。

さきほどの橋をのぞいて

道幅も歩道も狭くて走りやすいコースとはいえない。

でも、江戸川や荒川の川べりと違って、

走っていて風景が変わるので面白い。


しかし、あまりゆっくりしてはいられない。

名残惜しいが引き返すことにした。


城崎温泉街に戻ってきた。

知らない街を走る楽しさは満喫できた。

宿に戻って、すぐに外湯へ。

外湯は旅館の目の前の「一の湯」にした。


金曜日の朝のお風呂は空いていて、

じっくり浸かっていたい気分だった。


実は物価が高い伊豆長岡以来、

温泉街での仕事は避けていた。

でも、城崎温泉はさすが。

志賀直哉が気に入ったのもよくわかる。

当時の面影はないかもしれないけれど。

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「海岸通」を走る<大分県津久見市> [ラン旅]

「あなたが船を選んだのは私への思いやりだったのでしょうか。

別れのテープは切れるものだと、なぜ、気づかなかったのでしょうか」

伊勢正三の名曲「海岸通」(かいがんどおり)。

そして、イルカが歌っていた「なごり雪」。

これらの曲は、伊勢正三が故郷の大分県津久見市をイメージして作った曲だ。

今、津久見駅のホームには「なごり雪」が流れている。


かつて、伊勢の育った家は、

津久見港がすぐ目の前の「海岸通」にあった。

その頃の港は埋め立てられ、ホテルやスーパーが建つ。

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そのホテルの部屋からは海が見えた。
海とホテルの間にはランニングの周回コースがあり、

朝はラジオ体操、日中はウォーキングの人たちが絶えない。

部屋に帰ると「よし走ろう」そんな気持ちになってくる。

 

津久見の港は典型的な工業港。
太平洋セメントなどのプラントが並んでいる。
「海岸通」にあるような別れのテープの光景は、

おそらく見られないだろう。


ホテルを出て、津久見港を海に沿って走る。
魚市場の近くで釣りをしていたおばちゃんが二人。
アジとメバル、メジナがバケツに入っていた。
晩御飯のおかずか、明日の朝ごはんか。

夕日が港の先の山に沈んで行く。 


港はここまでにして

山側にある津久見駅に向かう。
かつて、駅の周囲にある商店街も賑わっていたのだろうか。 

こじんまりした店がいくつか灯りをつけていた。 

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気温は10度もないだろう。

3月の中旬というのに、真冬なみの寒さだった。


もし、この街で生まれ育ったら、

どんな人生を送っただろう?

旅先で、ふと、そんなこと思うことがある。


夕方、「なごり雪」が流れる駅のホームで 、

大きな荷物を抱えてホームに立つ母娘を見た。

特急列車が入ってくる。

数人の乗客が降りた後、

母が先に列車に乗った。

娘は乗り込む直前、津久見の街を振り向いた。

そして大きく2度、手を振った。

発車を告げるメロディーが流れる。


3月下旬。

もう卒業式も終わっているだろう。

進学か、就職か。

それとも父親が単身赴任で住む街に行って

一緒に暮らすのかもしれない。

彼女は津久見に別れを告げて、

どんな一歩を踏み出したのだろう。

走りながらも、ずっと気になっていた。

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長嶋茂雄ランニングロードを走る<静岡県伊豆の国市> [ラン旅]

長嶋茂雄ランニングロード


その名前を聞いてから、いつか走ってやろうと思っていた。
どれほどタフなコースなのだろうかと。


当時、ミスターが宿泊していたのは大仁ホテル。

大仁の町の高台の上にある。

大仁の街に下り、狩野川の土手を走り、

川の対岸にある城山に登っていたという。

距離では10kmくらいだろうか。

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今回の宿は伊豆長岡の温泉宿。

大仁まで5キロはあるけれど、

夕方、狩野川の土手を大仁に向かった。
傾き始めた太陽は右手に、川を左に見て走る。
散歩にもジョギングにも気持ちのいいコース。
犬を連れた人、体育会の学生などとすれ違う。

この季節の狩野川は水量が少なく、
土手から清流まではちょっと離れている。


30分ほど走ると土手が途切れた。
しばらく車道を走り、
また川沿いの道に戻る。
だいぶ暗くなってきた。
そろそろ引き返そうか。

いや、ミスターが走った辺りまでは行きたい。
川の東側には「長嶋ロード」の表示があるのだけれど、
西側には見当たらない。

ここは、ミスターの走った場所なのだろうか?
確証が持てないまま走っていると、
突然、右手に城山の入り口 が現れた。

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ここからミスターは山を登ったのだ。

写真付きのモニュメントもある。
でも、この暗さでは山に入る気がしない。
そのまま通り過ぎ、対岸に渡ることにした。

東側は西側より整備されていて、
「東京読売巨人軍 長嶋茂雄ランニングロード」

と書かれたものものしいモニュメントもあった。
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だいぶ暗かったけど、
走っている人もいる。
でも、これから伊豆長岡まで戻る人はいないだろうな。

ミスターがこの道を走ることは、もうないだろう。
ランニングロードはきっとモニュメントとともに、

永遠に不滅であるに違いない。 

帰り道、すっかり暗くなってしまった。

10kmていどのつもりが15kmになった。
ミスターは走った後に生ビールを飲んだだろうか?
当時は瓶ビールしかなかったかもしれない。


走ったあとは温泉、そして生ビール。
そんな想像をしながら、
真っ暗になった道をとぼとぼと走った。

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大濠公園を走る<福岡県福岡市> [ラン旅]

大濠公園名前は誰でも聞いたことがあるだろう。

福岡市の中心にある由緒ある公園だ。

以前の職場のすぐ近くだったけど、

当時はジョギングコースがあるなんて知らなかった。

興味がないとはそういうことなのだ。


2年前、第1回福岡マラソンを走り終え、

銭湯が開くまで、この公園で時間を潰した時のこと。

あまりに多くの人が走ってるので驚いた。

いつか、この公園を走ろう。

そう思った。


今回福岡に滞在するのはたったの1泊。

だから天神でも大濠公園よりにホテルをとった。

チェックインしたのは午後6時。

もうすっかり暗くなっている。

すぐに着替えて飛び出した。

 

昭和通りから赤坂を通って大濠公園へ。

福岡城がライトアップされているなんて知らなかった。

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夜になっても照明があるので、

走るのには問題ない。

しかも、1周2キロ。

200メートルごとに距離の表示がある。

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3月初めの寒い夜だったけれど、

走っている人はなかなか多い。

周囲は福岡市の中心。

公園の池にはビルの灯りも反射している。

なんとなく皇居にも似ている気がするけど、

皇居より道幅も広いし、人も少ないし、

ずっと走りやすい。

ビルドアップ走などペースを気にして走るには、

格好のコースと言えるだろう。 

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お腹が空いてきた。

2周でやめてホテルに向かった。


今度、福岡に来た時は、
百道浜や室見川沿いを走ると決めている。

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夕暮れの宍道湖を走る<島根県松江市> [ラン旅]

2月。まだまだ寒い日がつづいていた。
それだけ空気が澄んでいるとも言えるのかもしれない。
島根県の出雲と松江を結ぶローカル列車の車窓から、
遠くに富士山のような形の山が見えた。
中国地方の最高峰・大山(だいせん)に違いない。

松江の滞在はたったの一泊。
のんびりしてはいられない。
ホテルに着いて荷をほどき、すぐに走り始めた。
松江城や周囲を囲む水路、武家屋敷、宍道湖。
美しい街をできるだけ走って見てみたい。 

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ホテルの裏は、ちょっとした飲屋街。
今は開店を前に眠りから覚めたような感じだ。
いくつか橋を渡るとすぐに松江城が見えてきた。
街の中心の高台にある城は
松江が初めての私にとっては格好の目印になる。

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城もじっくり見物したいけど日も傾いてきた。
急ぎ足で反対側に抜けると運河に沿って武家屋敷が並んでいた。
小泉八雲の旧住居も、その一角にあった。 

突然、思い出した。
以前、仕事で「日本の風景100選 」を選ぶ作業に携わったことがある。
その100選の中に「宍道湖の夕日」があったはずだ。
こうしちゃいられない。
夕日の写真を撮らなくちゃ。
ランニングのため、持っているカメラはスマホのみ。
カメラを取り行くためペースを上げてホテルに戻った。

「秋の日はつるべ落とし」
2月だってまだまだ日が暮れるのは早い。
宍道湖の湖畔に急ぐ。

湖畔についた。
夕日を遮る雲はほとんど見えない。
絶好の夕日日和だろう。
左手に弁天島のような小さな島が見える。
夕日とあの島が一緒に写った写真がガイドブックに載っていたはず。 
寒いのにカップルや学生、主婦など、
夕日を見に100人を超える人たちが集まっている。

島と夕日が重なりそうな場所まで走る。
だんだん人が増えてきた。
カメラを三脚に据えた集団もいる。
夕日を見るためにできたのだろう。
堤防のような階段もある。

持ってきたミラーレスカメラやスマホでシャッターを押す。
湖とあって、夕日は 水平線に沈むわけではない。
風はなく、鏡のように穏やかな湖面に一羽のカモが泳ぐ。

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小島のシルエット。
オレンジ色の空。
湖面に反射する光の帯。

みんながここに集まるのもうなずける気がした。

夕日は宍道湖の対岸、出雲の方角の山に沈んで行った。

宍道湖2.jpg

誰もがすぐには帰らない。
沈んだあとの空をなごり惜しそうに眺めていた。

空はオレンジ色から、青に、群青色に刻々と変化していく。
そして星が輝き始めた。 

 

 松江brog.jpg

 (夕日の写真撮影時、GPSはoffだったようです)


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