宇和海の秋の夜<愛媛県愛南町> [旅ラン]
愛媛県愛南町はどこにあるか?
四国に住んでいる人は別として、
答えられる日本人はおそらく1パーセント以下だろう。
少なくても私は初めてその名を知った。
答えは、愛媛県の最南端。
高知県宿毛市との県境にある。
せっかく走るのなら、海沿いと決めていた。
ところが、周囲の道路ときたら、
それほど広くない2車線道路で、
ま、車の通りも多くはないのだけれど、
それだけにビュンビュンスピードを出している。
こわくて走れたものではない。
ただ、周囲を車で走っているうちに、
一本だけ歩道のある道を見つけた。
そこを走ることにする。
ホテルを出る。
周囲の国道沿いには道の駅のほか、
全国チェーンのドラッグストア、コンビニなどが並ぶ。
まっすぐ海を目指す。
途中、古い建物に薄赤りがついた店らしきものを発見。
醤油店だった。
午後5時半すぎ。
11月の日没は早い。
西日本だから関東よりは遅いはずだが、
すぐに空は青から群青色に変わる。
黒くなるのもすぐだろう。
歩道は広く凹凸もなくて走りやすい。
すぐに右手に入り江が見えた。
鯛やハマチ、外海ではマグロも養殖している。
真珠が取れる阿古屋貝の養殖も盛んなのだろう。
この対岸にはパールリゾートなるホテルもあった。
ただ、ちょっと寂れている感じだった。
今日、昼間に出会った家族のことを考えていた。
ヒオウギ貝を養殖している夫婦と息子さん。
眺めのいい崖の上で食堂、民宿を経営している。
養殖している海はプライベートビーチ。
夏には大学の潜水部の合宿も行われるという。
夫婦はもう80代。
息子さんは独身のようだ。
突然やってきて無理をお願いする私に、
いやな顔もせずに好きにさせてくれた。
私の仕事は予想以上の成果だった。
養殖の仕事は、決して大金は生まないのかもしれない。
もし、縁あって、またこの地を訪ねてきたとき、
あの民宿はどうなっているだろう。
息子さんの隣には・・・・・・。
走っている道は、ほとんど一本道といっていい。
引き返さないと、それだけ帰りが遅くなってしまう。
道はか快適だけど街灯がない。
残念だけど引き返すことにした。
虫の声が聞こえる。
コオロギやスズムシではない。
初めて聞く虫の音。
四国だけの秋の虫なんているのだろうか?
リーン、リリーン。
高音で上品な音色だった。
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