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第3回福岡マラソン報告 [福岡マラソン]

九州の中心と言ってもいいだろう。
福岡マラソンのスタートは福岡市天神という繁華街のど真ん中。
私のスタートブロックDは、とりわけにぎやかな岩田屋百貨店の前だ。
8時すぎ、天神を南北に分ける渡辺通りの交通規制が始まり、
スタート位置に移動する。
hukuoka1.jpg
「帰ってきた」。
かつて住んでいたこの街でのレースは、
ほかの開催地とは違った格別の思いがこみ上げてくる。

2年前、第1回福岡マラソンのときも、ちょうどこの辺りで号砲を待った。
あの時は男性アナウンサーが、だいぶ盛り上げてくれた。
「高い倍率の抽選で選ばれたみなさん!」と言われてちょっとだけ嬉しかった。 
今回は女性MC。
落ち着いた口調で淡々と進行していった。
8時20分スタート。
糸島半島を目指して1万3千人が走り始めた。

渡辺通りを左へ曲がり
下町の雰囲気が残る唐人町へ。
その手前の3km辺りに、昨夜一緒に水炊きを囲んだN山さんがいるはず。 
待ってるとすれば左側のはず。
すると、右手にはサブ4のペースランナーがいるのに気がついた。
そちらに寄って付いて行きたい気もした。
しかし、そうするとN山さんとは会えないだろう。
左寄りのランナーは、みんな誰かを探しているのかペースが遅い。
迷っているうちにサブ4は遠くに行ってしまった。
結局、N山さんには会えぬまま唐人町を過ぎ、
よかとぴあ通りに入る。
hukuoka2.jpg 
ヤフードーム、福岡タワー、ホテルシーホークなど近代的な建築物が並ぶ。
福岡博物館、図書館を過ぎると、かつて住んでいた百道一丁目。
懐かしさで心が躍る。
そして室見川を渡る。
河口付近では、もうサワラやサヨリが釣れる季節が終わったはず。 

懐かしんでいたら、案の定ペースが落ちていた。
10km地点、GPSでは58分27秒もかかっている。
サブ4のためには遅くても56分台でないと難しい。
生の松原に入る。
元寇防塁のある歴史のある松原を抜けると、
いよいよ博多湾が広がる。
hukuoka3.jpg
ヨットが5、6何艘か停泊して、
がんばれーと応援してくれている。
ヨットの向こうには檀一雄が愛したという能古島が見える。
私には能古島といえば井上陽水の「能古島の片思い」が真っ先に浮かぶ。

アスファルトに映る影は弱く、
日差しはほとんど感じない。
気温の表示は18度まで上がっていたが、
暑さが走りに支障になるほどではない。
風もほとんど感じない。
ベストコンディションと言っていいだろう。 
hukuoka4.jpg
海岸線から今宿駅付近の商店街に入る。
道が狭く、右に左に進路を変える。
応援の人たちが特ににぎやかなのもこの一角だ。

ところで、ずっと迷っていることがあった。
レース前に2度通い、すべて完了して万全なはずだったが、
またトイレに行きたくなった。
我慢できるだろうか?
いや、我慢していたら福岡マラソンを楽しむことはできない。 
扉のない男性用トイレならロスタイムは最小で済む。
もしあったら入ることにした。

やがて九州大学の構内に入る。
広い、ゆったりとした上り坂のピークで折り返す。
折り返してからは、内側を走ることにした。
ひょっとして、SAWAさんや49manさんがいるかもしれないと思ったからだ。

下り坂の途中に21kmの中間点があった。
2時間2分。
10km以降、だいぶペースを上げていたようだ。
サブ4が十分可能なタイムだ。
狙ってみるか。
 
そんなことを考えたいたら、見慣れた笑顔で手を振る女性。
SAWAさんだった。
右手を出してハイタッチ。
仲間と励ましあえる幸せをかみしめる。
hukuoka5.jpg
しばらくは博多湾に沿ってアップダウンを繰り返す。
応援をしてくれる人たちが、より温かい雰囲気になってきた。

やはりトイレに行きたい。
男性用はなかったが、空いたので用を足した。
ロスタイムは1分程度か。

エイドステーションは豊富だし、
バナナ、みかんやパン、うどんまで、給食の種類も豊富だ。


ただ、後半はアップダウンが繰り返す。
上りがちょっとこたえるようになってきた。
もう金沢でサブ4達成していることだし、
今期はもう、がんばらなくてもいいかな。
もう、ゆっくり走ってもいいかな。
上りはきついし。
もう、いいかな。

坂道でペースが落ちてからは、ずっとそんなことばかり考えていた。
かつてないほど、私のペースは30kmすぎから落ちていた。

糸島半島の名物、夫婦岩が見えてきた。 
そして、また坂道は続く。
ほぼサブ4は不可能になった。
でも、4時間10分は切らないと、
今後のレースでどんどんタイムは落ちていきそうな気がする。  

36km過ぎだったと思う。
「これからスパートしまーす!」
すぐ後ろで、よく通った男性の太い声がした。
声の主、赤いウエアのがっしりした男性と、
「報道」というビブスの男性が私を追い越し、
前を塞ぐように回り込んできた。
hukuoka6.jpg
おそらく男性はアナウンサーか地元のタレントなのだろう。
沿道からも 「BBさんがんばれ!という声がとんできていた」
スパートには、どんな意味があるというのか?
これからではスパートしたところでサブ4は不可能なはず。
では、彼がスパートに価値を見出すのはどんな理由だろう?
前のランナーをどんどん抜いて順位を上げることくらいのはず。
「スパートします」と宣言をして、
カメラの映る場所で、まずは私を抜いたというわけだ。
 
上等じゃないか。

映像が浮かんだ。
ゴール前で、次々と他のランナーを抜いて、
カメラの前で笑顔で両手を上げる彼の姿だ。
きっと彼はそんなふうに思い描いているに違いない。
そして汗を拭きながらカメラに向かって言うのだ。 
「ラストは死に物狂いで頑張りました」と。
いいアイデアだ。 
だけど、気の毒だけど、そうはならない。
なぜなら、最後のゴールシーンの直前、
彼は身長183センチの男にカメラの前で抜かれることになるのだ。
しかも、その男は彼の顔を隠すように目の前に回り込む。
おかげで万感の表情の彼をカメラはとらえることができない。
その邪魔者は、私のことだ。 

ロックオン。

あと4kmだ。
どうってことない。 
彼がどんなに余力があり、スパートしたとしても私は付いていく。
そして最後はかならず私が前に行く。
カメラの前で。

もう疲れは感じなかった。
自分の描いたシナリオに酔っていた。
疲れも、のどの渇きも感じなくなっていた。
今回はこのために体力を温存していたのだ。
100パーセント彼に勝つ。
これが、アドレナリンなのか。
5㍍くらいの距離を置いて付いていった。

しかし、そのプランは実現できないことを知った。
彼のスピードは目に見えて落ちてきたのだ。
上りでもないのに、キロ6分以下に落ちている。
たまたまだろうか。
しばらくは付いて行ったが、いっこうにペースを上げる気配はない。
あと3kmというのにエイドで立ち止まった。
「おい、君、スパートするんじゃなかったのか?」
「あれは嘘だったのか?」
声をかけようかと思った。

そもそも「スパートします」とは、
単にテレビ向けのカッコつけたコメントだったのか。
これでは4時間10分も切れないかもしれない。

見切りをつけて、私は先を急ぐことにした。
41km。
49manさんの友人、N山さんを発見!
声をかけた。
電車やバスを乗り継いで、ここまで来てくれたのだ。
ありがとう! 

もう、ゴールはもうすぐだ。
最後にスパートしてこないかと振り返った。
やっぱり、あの赤いユニホームは見えなかった。
スパートは、私を抜いたあの一瞬だけだったのだ。 
 
最後の5百メートルは全力で走った。
次々に前のランナーを抜いていく。 
これがスパートだぜ、ベイビー! 
 
 

 
 


















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コメント 5

KANPEI

既に金沢マラソンでサブ4を達成していたので、モチベーショ
ンを保つのが難しいですね。
しかも、以前住んでいた街となると「記録狙い」というのは、
どうも味気ない。
そんな中でのこのタイム、しかも「後半のJack」は伊達では
なかったですね。

by KANPEI (2016-11-24 13:05) 

49歳初挑戦男

こんにちは。
福岡ではお世話になりました。
お陰で思い出に残るレースになりました。ありがとうございました。
それにしてもjackさんの闘争心のスイッチが入ったときは誰もとめられないパワーがでるのだと思いました。
後半のjackさんにあやかって私も頑張りたいです。
次回のnahaマラソンも楽しんでくださいね。
レポートを楽しみしてます。

by 49歳初挑戦男 (2016-11-24 19:00) 

Jack

>KANPEIコーチ
まったくですね。
「サブ4狙う」と言っていましたが、
同時に「サブ4でなくても」という気持ちもありました。
それに第2の故郷を味わいたいとの思いもありました。
まあ、結果的にはまあまあということでしょうが、
「普通に走ってサブ4」になりたいものです。

>49歳初挑戦男さん
こちらこそありがとうございました。
楽しかったです。
私は「後半のjack」と自ら思い込んでいます。
KANPEIコーチもそう言ってくれますしね。
そんな気持ちって大切ですよね。

NAHAももうすぐ。
場末の民謡酒場が呼んでます!!!!
by Jack (2016-11-24 23:29) 

なっしーこ

福岡エンジョイされたようで良かったです。さて日曜日はNAHAですね〜あれから一年経つんですね、まぁみいさん、49manさん達と囲んだ懇親会がつい最近のようです。場末酒場の幼馴染みカップルとかも懐かしいです。また報告してください。もちろんランもご健闘を!休みが取れれば行きたかったなあ〜
by なっしーこ (2016-12-01 12:16) 

Jack

>なっしーこさん
休みがいくらでも取れる私は、
早くも沖縄入りしています。
本日は名護に宿泊し、
明日、あの酒場に出撃予定です。
RUNについえては、かなりモチベーション低下しています。
4時間10分切れるでしょうか。
by Jack (2016-12-01 21:27) 

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