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いわて北上マラソンを走る(2)完結編 [北上マラソン]

私と一緒に走る女性は一人になりました。
その方は姿勢も乱れずテンポも一定です。
サングラスで目はわかりませんが、きっと美人です。
年齢は40代でしょう。

上りの坂道で、遅い年配の男性を抜きました。
すぐに下りに変わったためか、その男性は追いついてきました。
その男性が女性に話しかけたことから、
3人でしばし話をしました。
「失礼ですが」と私は男性に年齢を聞きました。
66歳。埼玉県草加市から来ているとのことでした。
私もその年齢になっても元気で各地のマラソン大会に出られたらいいな。
しかし、女性への質問はためらいました。
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さて、北上市内に入ってきました。
沿道では郷土の伝統の太鼓や舞が見られます。
河童太鼓、鬼剣舞、神楽など。
町ぐるみでマラソン大会を成功させようという気持ちを感じます。

もうすぐ30㌔です。
20㌔すぎてからの追い上げたおかげで、
このぶんなら4時間50分は切れそうです。
でも、37㌔すぎからずっと上りになることが、
気になっていて、まださらにスピードを上げるのが怖いような気がしてました。

沿道では温かい応援が続いています。
東北の人たちはシャイなことを私はよーく知っています。
応援には「ありがとう」か手を振ってこたえました。
ouen.jpg
相変わらず日差しは強烈です。

35㌔すぎ、カラスが飛んできました。
そして私の10㍍ほど前の電柱の上に止まりました。
その直後、私の数㍍前に直径3、4㌢の小石が真上から落ちてきました。
小石は、跳ね返り、ころころと左へ。
そこには足を痛めたランナーを、自転車に乗った救援隊がマッサージしていました。
小石はそのランナーの上を越えて道路脇に落ちて行きました。
カラスはランナーをねらったのでしょうか。
それとも私を狙ったのでしょうか。
denen.jpg
36㌔を過ぎました。

沿道の役員が「ゴールまで20人抜けるぞ」
と女性に声をかけてきました。
「ずっと抜かれてませんね」
私は一緒に走る女性に声をかけました。
女性は「そうですね」と嬉しそうでした。
たしかに、周囲はフラフラ走る人ばかり。
10㌔以降は1人にも抜かれていません。
そして、6分台前半にペースを上げた私たちは、
下位の中では目立つ走りだったのだと思います。
やはり抜くのは気分のいいものです。

ゴールが近づいてきました。
周囲はほとんど稲刈りが終わっています。
でも、黄色い稲穂が残っている田んぼもあります。

ここで背後から来た別の女性に追い越されました。
「抜かれましたね」一緒に走っている女性が言いました。
「これ以上はスピード出せません」と私が言うと、
「私もです」と彼女は笑いました。
終盤とは思えない落ち着いた声でした。

あと2キロです。あと12、3分です。
ここでさらにペースを上げました。
ふくらはぎがちょっと痛みます。

GPSを見ました。
どうやら4時間50分は切れそうもありません。
でも、ここまでしっかり走っていることで気持ちは満足感でいっぱいです。

直線のゴール付近では、地元のチア部隊などが、
相手が誰でも大きな声援を送ってくれます。
そういえば、館山でも東京でも、ゴールでこんなことはなかったような気がします。
ゴールがすごく盛り上がるっていいですね。

フルマラソン3度目のレース。
初めて5時間を切りました。
思った通りに走れたのも初めてでした。
満足したような、もっと走っていたかったような、不思議な感覚でした。
goal.jpg
ゴール後も、ゆったり更衣室で着替えました。
食事券で引き換えた食事は、カレーライスと豚ショウガ焼き。
おいしかったけど、
去年は豚汁、おにぎり、サンマと聞いていたので、ちょっと残念でした。

北上マラソン、楽しかったです。
マラソンは、こんなに楽しいものなのですね。
館山若潮、東京、そして、いわて北上マラソン。
どれも素晴らしい大会でした。
でも、その中で一番心に残る大会は?と聞かれたら、
私は北上マラソンと答えるかもしれません。
沿道の応援は東京の100分の1以下でしょう。
でも、関係者や沿道の人たちの大会への愛情は、
決して東京にひけはとりません。

この大会を開催してくださった皆さん、
そして、マラソンを始めるきっかけを与えてくれた方、
私と一緒に走ってくださった方々、
応援をしてくださった方々、
すべての人に感謝したい気持ちです。

あ、美女とはどうしたかって?
同時にゴールして、「お疲れさま」と声を掛け合いました。
できれば、サングラスをとったお顔を拝見したかったなあ。
絶対美人のはずですよ。

いわて北上マラソン編 おしまい。







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